Cat is god vol.1
預かり猫T君の話
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童顔の美中年

3

猫を預かってすぐ、我が家は猫に夢中になった。
たまに遊びに来るのと、本腰を入れて一緒に暮らしているのには雲泥の差があった。

T君は、童顔の美中年。
我が家に来たときにはすでにおっさんだったのですが、うんと小さい頃、拾われてすぐに去勢されたせいか、顔がめちゃくちゃ童顔。男の子のわりに小顔で、鼻筋が細く、小ぶりでチュンと可愛らしい鼻をしていた。
毛艶も良く「キジトラ猫の見本」みたいな完璧な容貌。
ただ、胴が心なしか長くて、毎日鼻を垂らしていた。
T君は強烈に蓄膿症ちくのうしょうだった。かわいい顔して鼻提灯...。

人懐っこさにかけても色々なエピソードがある。
人間に対する信頼が絶大で人間が大好き、「呼ばれ待ち」をするT君は常に人の目が自分に向くことを期待していた。猫にとってじっと目を合わせるっていうのはタブーだと思ってたんですが。
TVの上に居るとき(あ、時代を感じる...)も、丸い瞳を輝かせて、TVを観ている人の顔をじっと見つめて名前が呼ばれるのを待つ。呼ばれると「ニャーン」と返事をしながら人間の膝の上へ。名前を呼ばれれば、どこに居ても、眠っていても返事をして飛んでくる。
抱っこもなんのそので、長時間、人間がしびれを切らすまで延々抱っこしていてもへっちゃら、抱っこでご満悦な猫だった。

人間は、猫のあたたかさと柔らかさ、ねっとりとした重さに夢中になった。

余談ですが、ところがこれで犬に対してはなかなか意地悪だったらしい。
T君は戸建て時代、年上の雌犬と暮らしていたことがあるのですが、犬の視力が弱いのをいいことに、てくてく前を歩く犬のお尻を後ろからバシっと叩いたりしていたのだそうだ。優しい年寄り犬の方は「?」という顔をするだけでさして気ににとめない素振りでなんともおおらかな。

ロリ顔の美中年は意外としたたかだったのかもしれない。