Review vol.1
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ねじまき鳥クロニクル / 村上春樹(新潮文庫)

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どこにも行けないわけではないのに「どこにもいかない人」ってのは、(その近しい人にとっては)安心させてくれる存在だと思う。
変わらない、揺るがない人は心強い。

幼馴染に「何故そんなに達観していられるのか」と言うことをよく言われる。もっと主観的な感情をぶん回して生きていくのが普通だ、と。
私は基本的に他者への興味がない、興味というか「期待」が無いのです。そうすると自然、個人的な怒りを人に当てることもなくなる(よっぽどな邪魔でもされない限り)ので、一見達観して見えるのだろう。

一方職場で私はよく怒っている。それはあくまで「駒としての怒り」であって、そこに個人的な恨みつらみは無い。駒であることを自覚しているので、自分が所属する組織の利益や進展を思って腹を立てるのであります。だから軸である会社にふにゃふにゃされるとほんと遣る瀬なくなる。

会社の同僚と、私の親しい人との間にはイメージの谷間がもんの凄いあるんじゃないかな...。

私がこんな風になったのには色々経緯があり、最初からこんな無機的だったわけでは、決して無い。なんなら感受性の化け物みたいな感じで、なにかにつけ一喜一憂する可愛らしい人生がそれなりの期間、在った。
在ったけど、そういう生き方はリスクが高いな!と判断することになる〝決定的な事柄〟があり私は考え方を変えた。期待をしない生き方は味気ないかもしれないけれどリスクは低くて安定できる。と思っていた。
対外的な発散を無くした途端、「ごく稀にあるストレス」や「さざ波的な変動」が内へ内へと突き刺さるようになり、私は長い時間をかけてバランスを崩した。

一見して外的には安定して見える人も、内的にはこうやって色々混沌としたところがある。
それを誰かに分からせようとは決して思わないので、世界は内へ内へとどんどん拡張されていくばかり。文字通りどんどん根深くなってゆくのです。

閑話休題、短すぎる読書感想文を。
表面的には「妻がAをしてBになる。」それだけの変化の話なのですが、Aに至る以前の、Aに至るための話で世界がブワッと拡張されている。
内側の世界が膨張を繰り返してグラグラと成長していく感じには...なんとも他人事とは思えない不穏さがありますね。

今更だけど読んでよかった。
でもこれ不調の時に読む本ではないですね...ゾワっとする...。

ねじまき鳥クロニクル(新潮文庫) ねじまき鳥クロニクル(新潮文庫) / 村上春樹
★★★☆☆
あっちへ行ったりこっちに行ったり。全三巻です。