Review vol.1
本を読んでいます
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アイヌの昔話 / 萱野茂(平凡社ライブラリー)

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就寝前にドロドロした本ばかり読んでいたら、非常に夢見が悪く、なんとかならんもんかね。と気分を変えるために選んだのがこの本。
アイヌの短いウゥェペケレ(口伝の昔話)を文字でまとめた短編集です。

カラっとした読後感を求めて読み始めたのですが、結構イカツイ話も...。
とはいえ全体的にはカラっとしていてとても読みやすいし、語感が特徴的なアイヌ語からの翻訳のせいか、どことなくぎこちない日本語文体にはなんだかリアリティがある。
物語のはじめと終わりに使用される「特徴的なテンプレ」による様式美も、心地よい。

日々謙虚にあまたの神様を大切にする人々。
神様といえども、悪事をはたらいた途端「化け物!」と呼ばれコテンパンにやっつけられちゃう潔さ。
個性的な文化の上にある道徳観ってのはとても味わい深い。
昔の人は「やっつけた」だけで終わりにしないところがエライなー。

アイヌの昔話(平凡社ライブラリー) アイヌの昔話(平凡社ライブラリー) / 萱野茂
★★★☆☆
「6」という数字の意味とか、あとがきを読むと更に味わい深い。