Review vol.2
映画はひとりで観たいので
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Precious(プレシャス)

7

precious01 良いことなんて一つもない。そこからスタートする主人公プレシャスの人間賛歌(©荒木飛呂彦)です。
もっと救いようのないお話かと思っていましたがそんなことは無くて、意外と明るくもある。ただ、スタートの状況によってはどうやっても何らかの不幸を背負ってしまう場合はあるのです。

プレシャスが結構な棒ですが、その雰囲気もキャラクタとマッチしており無骨な態度がキッチリそれをフォローしているので障りにはなりませんです。アクセサリでちゃんと色合わせをしている可愛らしさがなかなか好ましい子です。

precious02 ろくでもないハーレム、生活保護頼りな糞味噌ママ、一方的に日々御頂戴する憎悪、流暢なライム、ドンガラガッシャーン、ニャーン、とにかくなんかもう取り巻く環境が暗い。

precious03 プレシャスは16歳ですからね、まだ。
暗い照明に狭い部屋、ガッチャガチャの壁紙に猫。私好みのお家(ドールハウス的概念では)なのですが、お人形達が全然楽しくなさそうです。飯すらも不味そうな。

precious04 プレシャスの定期現実逃避。
こういった明からな妄想ばかりではなくて、今此処にある現実のスタンド的な妄想があり、そちらの方がより主人公を表しているしなんだかoh...といった気分。

precious07 孫を膝に乗せソーシャルワーカーと話すメアリーママ(プレシャスのママ)。モンゴ(プレシャスの第一子)はダウン症で、普段はお婆ちゃんの家に預けられているのですが、生活保護第一主義のメアリーママの意志によりソーシャルワーカー訪問時だけは担ぎ出される始末。
このママの糞ババアっぷりがまた凄いんすよ。

precious09 個性ややキツめのフリースクールに通い始めるプレシャス。
ドンガラヒャーッハッハーワオワオ!といったご様子からの幕開け。

precious10 学校付きのソーシャルワーカー、ミセス・ワイスを演じるのはノーメイク(公称)のマライア・キャリー。正面フェイスを惜しげもなくご披露してるよ!ご自慢の左っ面ももれなく付いてくるけどね。

precious12.jpg カサコソと好転する人生。
病院のシーンはとても好いです。訳アリ女は夜のオカマの様に儚くビッカビカに輝く。レニー・クラヴィッツもちょい役でご登場。

precious13 嘘がほんとに...後半のキャプは自粛で。
先生を素敵な解釈で表現するプレシャスもなかなかですが、最後にガツンとくるママライム(後編)のくだりまじ凄い。

他者に向けた猛烈な怒りって、それに比例するほど偏執的な感情が在る事の証明だと思うのですよ。都合よく解釈するといわゆる愛情の裏返し、とか...(好きな言葉じゃないけど!)。問題は当人だけならず傍目からの解釈も拗れてしまうところで。 それとはまた違って完全無視・放置はもっと別の感情由来だと思うんすよ。何のためにってそれは自分の(自己顕示欲なり保身なりの)ための手段。元を正せば感情なんてすべて主観にしか行き着かないものですから、くだらないこと言ってるなぁとは思うんですが!
ああ、でも自己顕示欲・自己保身・自分の過大評価由来で人に怒りを向けるタイプの人も居るよね。

precious14 プレシャスは女の話が女の世界で連鎖してる。女が嫌い或いは寛容になれない人にはつっぱねられるタイプのお話かも。
For precious girls everywhere.

プレシャス(字幕版)
★★★★☆
Amazon prime video
1時間49分 / 2010 / R15